ドラマチックSボーイ



「だって…静くん芸能人でしょ?
こんな普通の女子と一緒に登校なんてしたら、
静くんが大変なことになる…」


「---!」


私がそう呟いた瞬間、
静くんはなにかに気づいたようにハッとした。


「そうだな。ありがとな舞。俺のこと気遣ってくれて。

どうせ俺、先生方に挨拶に行かなきゃいけないから先行くな。」


そう言って笑顔を見せながら私の頭を1度撫でて行ってしまった。



コロコロ表情が変わるなあ…。


触れられた頭に手を置きながら、彼の後姿を見送ってそう思った。


この時、彼のハッとした顔や、笑顔に、何かの企みが含まれてることに私は気づくことはなかった。




ただ、

『本当は私も一緒に登校したかったんだけどね』

と言えなかった後悔を募らせているだけだった。





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