君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨
頭……ふらつく。自分の体が地震みたいに揺れてる感じで、気持ち悪い……。
「奏! ムチャしないでよ! あんた体調悪いんだから!」
胸に手を当ててハアハア息を吐いていたら、背後から亜里沙がバタバタ駆け寄って来る気配がした。
「あ、亜里沙ぁ……」
「大丈夫!? なにか飲み物持ってこようか!?」
「あたし、どうしよう……」
入江さんは証明した。
自分の恋を、命をかけて証明した。
その事実が、幻影のような彼女の世界が、けた外れに大きな影になって目の前に存在している。
どうすればいい? 唯一、これだけは譲れなかった、あたしの凱斗への確かな気持ち。
それすらも入江さんの影に、こんなに簡単に砕かれてしまって。
敵わないよ。とても太刀打ちできない。
もうここに存在しない者相手に、生きてる者が挑めるわけがない。
……ずるい。
死っていう、とてつもないものを代償にして、これほど大きな衝撃を遺して、手の届かない場所へ勝ち逃げしてしまった入江小花という存在が。