君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨

 凱斗の姿はブロック塀の陰に隠れて、すぐに見えなくなった。

 駆けて行く足音もあっという間に遠ざかり、彼の気配はもう、どこにもない。

 あたしはポカンと口を開け、目を大きく見開いて、見えない姿をずっと見送っていた。

 ……聞こえたのは、ほんの一瞬。
 雨音に紛れていたし、走り去りながらの言葉だったから、ほとんど聞き取れなかった。

 あれってあたしの聞き間違い?
 幻聴? 幻覚? 幻想? でも……。

 凱斗の頬、赤く染まっていた気がする。凱斗、照れていたの?

 あたしのために、いつも傘を用意してる?
 それは、いつかあたしと相合傘で校門を通りたいって意味?

 じゃあ、まさか凱斗も、あたしの事を……?

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