君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨

 それがわかっていながら、心は叫ぶんだ。

 凱斗が好きって叫んで、どうしようもないんだ。

 どうにもならないってわかってるのに、どうしようもないんだよ……。

 叫ぶ心のやり場がなくて、締め付けられるようなキリキリした痛みが走って、苦しい。

 目の前に見える凱斗の後ろ髪や、肩のラインや、階段を踏む黒い革靴が、ものすごく遠くに感じられて寂しい。

 思わず凱斗の背中に向かって手を伸ばしかけた時、不意に凱斗がこっちを振り返った。

「なにしてんだ? 行くぞ?」

 伸ばしかけた手をビクッと引っ込め、あたしはぎこちない顔で笑った。

「うん……」

 笑わなければならないことが、やるせない。

 それでもあたしは、どうにもできない。

 あたしは凱斗の後を追って、階段をゆっくりとのぼった。





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