君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨

 玄関先で大勢の生徒達が、おしゃべりしながら次々と傘を開く音が聞こえる。

 だけど、聞こえてるけど、認識ができない。
 あたしの耳には、凱斗の言葉しか聞こえない。

「ごめん」

 凱斗はそう言ってクルリと背を向け、あたしを置いて歩き出した。

 あたしは揺れる傘の青色と、遠ざかっていく彼の背中を見ているしかない。

『待ってよ』とか、『なんで?』 とか、『どうして?』 とか。

 ……聞けない。

『お前を傘に入れない。お前と一緒にあの校門を通らない』

 それは、本当にヒドイ言葉で。

 うちの学校の女子生徒にとっては、これ以上ないほど傷つけられる言葉で。

 それを好きな人に、ハッキリと言われて。

 そのうえさらに、好きな人の口から自分が拒絶された理由なんて、とても聞けない。

 そんなの、耐えられない……。

< 32 / 274 >

この作品をシェア

pagetop