君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨

 わざとバタンと大きな音をたててドアを閉め、すぐさまカギをかける。

「こら、奏! アイロンかけなさい!」

 お母さんの声が聞こえたけど、あたしはベッドに腹這いになって寝ころび、両耳を手でギュッとふさいだ。

 うるさいうるさいお母さんの無神経!

 事情を知りもしないくせに! こっちはアイロンどころじゃないのに!

「放っておいてよ! ひとりにして!」

「なんなの、その言い方! 親に向かって!」

 お母さんはドアの向こうでしばらく怒鳴り続けていたけど、無視してたらそのうち諦めてしまったようだ。

 腹いせにわざとらしくバタバタとスリッパの音を響かせながら、ドアから遠ざかる気配がする。

 耳障りな声が聞こえなくなって、あたしはホッとしながらゆっくり体を起こして、窓の外をじっと眺めた。

 ……なんて重苦しい、鉛のような空の色。

 窓を叩き続ける無遠慮な雨の音は、止む気配なんか微塵も見せない。

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