君の消えた青空にも、いつかきっと銀の雨

「で、どういうことなの?」

 ストローから口を離して、亜里沙がさっそく凱斗に質問した。

 グッとテーブルに身を乗り出しているのは、周りの人に話を聞かれないように気をつけているんだろう。

 あたしも周囲を気にしながら身を乗り出し、上目がちにオズオズと凱斗を見つめた。

 まるでふたり揃って『ホラホラ早く!』って脅迫しているみたいだけど、そんなの気にしていられない。

 あのメモにはどんな事情があるのか、凱斗がなにを考えているのか。

 どっちもあたしにとって、すごく重要なことなんだもの。

  凱斗は溜め息なのか、冷ましているのか、コーヒーのカップの上に数回息を吐いてから、やっぱり身を乗り出してきた。

 伏し目がちの顔がグッと接近してきて、あたしの胸がドキッと高鳴ってしまう。

 こんな時なのに、凱斗を好きな気持ちが、あたしの心をどうしようもなく揺さぶってる。

 やっぱりあたし、凱斗のことが好き……。

「入江は中学の後輩なんだ。同じクラブだった」

 その言葉に、あたしと亜里沙は顔を見合わせた。

 知らなかった。凱斗と入江小花さんって知り合いだったんだ。

 あ、じゃあ……彼女が自殺したのはショックだったんじゃないかな? 

 あたし達と違って凱斗にとっては、見知らぬ他人ってわけじゃなかったんだから。

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