星の砂 **海と空の秘密**
しおかぜでの最後の夜。
私たちはいつものように働いた。
今日は海上花火大会で、しおかぜは久々に込み合っていた。
夜空に打ち上げられる花火を見ようと、涼子さん、真帆ちゃん、千帆ちゃん、美帆ちゃんもしおかぜへ来ていた。
俊兄は、しおかぜの常連客の人たちにまで、親バカぶりを発揮していた。
「あ、ママ見て!花火!」
長女の真帆ちゃんの声に、みんなが海の上の空を見上げた。
胸の鼓動と花火の打ち上げられる音とが、一致した。
花火は、大きく開花してから、波にゆれながら沖に流れてゆく。
華麗な色で空を彩り、海面に映し出される光も美しかった。
花火を見る人々の目に、汚れはなかった。
太陽の光を反射して輝く真昼の海よりも、キラキラとしていた。
隣にいた海斗が、私の手を握ってきた。
ドキッとしながら海斗を見ると、海斗は優しい笑みを浮かべた。
私も微笑んで、握り返した。
すると、誰かが後ろから私たちの背中を押した。