星の砂 **海と空の秘密**


「ここみ。」



突然、空くんが私の手を放し、真剣な眼差しで私を見つめた。


せみの声は、もう聞こえなかった。

聞こえるのは、暗闇で静かに鳴く、鈴虫とコオロギの合唱。



「俺か、海斗か。どっちか選べ。」



私は、空くんのその言葉に驚いて顔を上げた。

空くんも海斗も、真剣な顔で私を見つめている。



私は、多分…いや、きっと海斗が好き。

でも、ここで海斗を選ぶの?


私を好きになって、気持ちを伝えてくれた空くん。

嬉しい気持ちは本物だから、傷つけたくない。


でも、空くんは雫が好きな人。



私は何があっても、あなたを選ぶことは出来ない…。




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