Blue Moon
「そういえば、ネオはどこから来たの?」
「んー、…俺は特に自分の身を置くところを決めてないんだ」
「ということは、旅人なのね!」
「…そんな、優しいものじゃないけどね」
ガリ、っと林檎を齧る。
その瞳にどことなく一瞬影がかかったのは、私の気のせいだろうか。
「…じゃあ、今まで見てきたものを教えて。
私、物心ついた時からあのお城にいたから、ネオの見てきた世界を知りたい」
「あんまりいいものじゃないけど?」
「望むところよ!」
風がふわりと、気持ちの良い空気を運んでくる。
どこか遠くで、鐘の鳴る音が響き渡った。