諸々の法は影と像の如し
「宮様は毛玉がお気に入りだね……。毛玉、遊んでおいで」

 章親に言われ、毛玉は、ぽんぽんと跳ねて宮様のほうへ飛んで行く。

「章親。何かわかったのか?」

 毛玉に代わり、魔﨡が章親ににじり寄った。

「う~ん。人食い鬼っていうだけじゃ、なかなか絞れないしなぁ。どこまでがお話なのかもわかんないし……」

 言いながら、章親は毛玉が持ってきた巻物を解いた。
 守道もあの鬼について調べている。
 だがやはり、これといった情報はないままだ。

「鬼よりも、あの子を調べたほうがいいかとも思うんだけど」

「ああ、あのガキか」

「ガキっていうほどの子供でもないと思うよ? 僕と同じぐらいじゃないの?」

「だが章親は主だし」

 魔﨡からすると、章親だってガキなのだろう。
 が、己の主であるので、ガキとは思わない、ということだろうか。

「奴の気を探るとか、そういうことは出来ぬのか?」

「あの子の持ち物もないのに、それは無理だよ」

 人の気を探るには、その者の身に付けていたものや髪の毛など、気が染み込んだものが必要だ。

「例の小石も浄化しちゃったし。多分あれだって、一瞬持っただけだろうしね」

 気が染みるほど身に付けてはいないだろう。
 何だか前途多難だなぁ、とため息をつきつつ、巻物を広げる。
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