諸々の法は影と像の如し
「あの宮様も、結構あけすけな性格だし。宮中では田舎者って馬鹿にされてるみたいだしなぁ。表立っては言わないけどな、気付いてると思うぜ」

「そうなのかな。だから内裏に帰りたくないのかな」

「それもあるかもな」

「でも難しい。貴族の姫君でも萎縮するのに、飛び越えていきなり宮家の姫君って。何で僕が、そんな人に絡むんだ」

「お前だからだろ」

 不意に守道が、ごそ、と動いた。
 こちらを向いたようだ。

「式が懐くのと一緒だぜ。章親の空気は人を安心させる。宮様も、章親の空気に触れたからこそお前に白羽の矢を立てたのだろ。あの宮様、何だかんだでそういうのを読む力があると見た」

「どこか近寄りがたいのも、そういったところによるのかな」

 章親が言うと、守道は、ははは、と笑った。

「それはただ単に、章親が女性に慣れてないだけだろ」

 けど、周りがあれじゃ、今後が心配だ、と呟き、守道はまた寝返りを打った。
< 261 / 327 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop