諸々の法は影と像の如し
第二十五章
「さぁ、呪を放ってみるがいい」

 そう言った道仙は、見たこともないほどの強力な結界に包まれている。
 守道も章親も目を疑った。

「そ、その結界は……」

 今までの道仙の能力からは想像も出来ないほどの結界だ。
 先の守道の結界よりも相当強い。

「どういうことだ。防御に関しては、ずば抜けているのか?」

 そうだとしても、ここまで差があるものだろうか。
 章親だって防御のほうが優れているが、やらないだけで、おそらく攻撃の類だって同じくらいの力があるはずなのだ。

 こういった術の類は、本人の気が大きく影響する。
 元々攻撃的な性格の者は、やはりそっちの力を重要視するため、上達も速いのだ。
 それだけの違いである。

「質が違う、というのは、こういうことなのか?」

 守道の呟きに、惟道は、僅かに首を傾げた。

「術の質など、よぅ知らぬが」

 前置きしてから、髪を掻き上げる。
 額の印が露わになった。

「道仙は文献の通りに術を再現することは得意だ。これだってそうだろう。教本があれば、その通りに術を再現する。あの結界も、奥で文献を読みつつ張ったんだろう」

「教本だと……」

「逆に言えば、教本がないと何も出来ん」

 微妙である。
 教本を読むのは本当に初期だ。
 教本を読まねば結界も張れないなど問題外だが、一方で本さえ読めば強力な術を使える、というのは侮れない。
< 296 / 327 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop