諸々の法は影と像の如し
第四章
 爽やかな風が吹き抜ける簀子で、章親はぼんやりと庭を飛び回るスズメを見ていた。
 御魂の召喚の儀を行ったときは、結構寒かったように思うのになぁ、とのんびり思っていると、表のほうから楓が走ってきた。
 その後ろから、守道が歩いてくる。

「あれ、どうしたの」

 驚く章親の傍に来ると、守道は簀子の前の階に腰掛けた。

「どうだ、最近。不穏な動きは感じないか?」

 守道は、よく気の流れを読むに長けた章親に、都の気の流れを確認する。
 さすがによほど大きな流れでないと、都全体のことなどわからないが、宮中ぐらいなら、章親ならば大体わかるのだ。

「うーん、そうだね。今は特に、何もないかな」

 章親が、ちょっと内裏のほうを見て言う。

「だろうな。星も妙な動きはないし。この分じゃ、今度の賀茂社参拝も、問題ないか」

 近く皇女が一人、賀茂社に参拝するのだ。
 何でも伊勢に行く前の、精進潔斎とのことだが。

「高貴な女性ってのは、狙われやすいからな」

「守道も護衛につくんでしょ?」

 いくら有能でも、守道もまだ若いし、官位もさして高くない。
 陰陽師の地位というのは低いのだ。

 陰陽の頭ですら五位。
 やっと昇殿を許される地位だ。
 守道や章親など、殿上人とは程遠い。
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