アイドルとわたし

抜け殻







side:瑞季




松さんの言葉は、リーダーにとったらあまりにも残酷なものだった。





真央ちゃんとの関係がもうバレている。






それからのリーダーは様子がおかしくて。





ずっと一点を見つめて寂しそうな顔をしているんだ。





しばらくしてから、リーダーが俺らに告げたのは





「俺、真央とは別れたから」





そのひとことだけだった。





「え…」





俺だけじゃない。




爽くんも、伊月も、瞬くんも。




でかい目が更に大きくなってなんて反応したら分からずにいた。





ふらふらと今にも消えてしまいそうなリーダーが楽屋を出て行ったあと






「智哉くん、あんなに幸せそうだったのに」





爽くんがポツリと呟いた。





「あまりにも早すぎるよな」




瞬くんも





「俺、あの2人大好きだったのに…」





あの伊月でさえしょんぼりして




2人の別れを惜しんだ。







俺は松さんから言われたことをみんなにも言って、それにはメンバーもなにも言えない様子だった。






俺らアイドルはみんなの夢みたいな存在。




リアルな恋愛はしてはいけないんだ。





イメージダウンと共にファンは離れていく。




でもね、リーダー。




俺は10年以上あなたと一緒にいるけど




あんな顔のリーダー、初めて見たよ。





優しさの中にこの子を守ろうって強さと温かさが同時に感じられて、男の顔をしたリーダー。




同じ男として尊敬しちゃったもん。










< 199 / 275 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop