エスカレーション
でも
ガレージにも公園にもカマキリはいなかった。カマキリはどこにいるのだろうか、
死んでるカマキリでもいいから手に入れたいとすら思い。父にも母にも隣に住むケンカのむちゃくちゃ強い友人のお兄ちゃんにも懇願した。かまきりがほしいと。
数日後、毎日毎日カマキリカマキリとせがむ息子のために父は草のはいった透明のビニール袋を得意げに持ち帰宅した。
中には緑色の大きなカマキリが入っていた。
父はビニールから首の下の棒状の胴体の部分をつまみ持って取り出し俺の目の前に持ってきた。
目の前のカマキリはカマを振り回し、威嚇し、何か吠えているような声すら聞こえた。
喜んだ俺は、いじくりまわし、こねくりまわし、一方的な愛を注ぎすぎた結果、カマキリは衰弱して死んだ。