俺様オヤジの恩返し
本業は天職です
本業は、ピアノとシンセサイザーの講師。時々イベントなどで演奏する。

橘 理恵子、49歳。
こちらが本当の私。


「橘先生、ピアノのクラスでコンクールに出る生徒さんの申し込み、もうありませんか?
今日締め切りですけど」


「はい。私のところは初心者が多いので少ないんです。
もう締め切って貰って大丈夫です」


「わかりましたー。
あ、先生、それとお願いなんですけど…。
今度ピアノの新しい講師の先生が一人増えましたよね、
橘先生にはピアノとシンセを両方持って頂いてますが、
ピアノのクラスがその新しい先生の担当になって、
今度からシンセ一本でって、連絡行ってました?」


「うん、はい、ずっと個人でやって来られた方で、男性だと聞いてます」


「そうなんですよ…。
でもこのまま女性講師の方が良いと言う希望もありましてね、
もしその辺の事情で何かあったときは、何卒よろしく…」


「……性別って、関係あります?そんな厳しい先生なんですか?
私は構いませんよ?生徒さんの希望に合わせてください」


「すみません。
橘先生が柔軟な方で助かります。
実は保護者の方から、男の先生はちょっと…という声が…。
いえ、一部ですよ?
小学生女子の保護者数名です。いえ、正確には2名です。
たしかに、上級者を教え馴れている方なので多少厳しいかもしれません。
でも問題はそれだけではなく…」


「はぁ……。
ロリコンの変態だったらどうしましょー。
うちの子がイタズラされたらどうしましょーって?」


「あははは!橘先生、やだもう。
はっきり言い過ぎ……面白過ぎ……」


「いいですよ、一人、二人でも持ちますから」


「ありがとうございます。きっと杞憂に終わるはずですよ」



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