狂気の王と永遠の愛(接吻)を~イベント編~

キュリオの本音

『早起きで学園へ遅刻もせず、勉学も芸術も誰にも引けをとらないナイスバディな女性ですか?』

 真顔で問うウンディーネにキュリオもまた、真剣な眼差しで声を上げる。

「違う。私はそんな姫を落としてはいない。私が落としたのは……」

「一度で起きるどころか二度寝は当たり前、そして遅刻もしくは始業の鐘と同時の入室……勉学も芸術も極めて平凡……さらには幼児体型の抜けきらない愛しいアオイを落としたのだ!」

 声高らかにそう言い放ったキュリオ。すると――

「……う、うーん……」

(いま…お父様の声が……。聞きたくない言葉がっっっ……)

 意識が覚醒し始めたアオイだが、あまりに目覚めの良くないことを聞いた気がする。

(き、気のせい……気のせい。……お父様がまさかそんなことおっしゃるなんて……)

『キュリオ王……貴方様はやはりとても正直なお方。試すようなことをして申し訳ありませんでした。では……』

『"一度で起きるどころか二度寝は当たり前、そして遅刻もしくは始業の鐘と同時の入室……勉学も芸術も極めて平凡……さらには幼児体型の抜けきらない愛しいアオイ姫"をお返しいたします』

「あぁ、ありがとう」

 キュリオがアオイの体を腕に抱きしめると、彼女を覆っていた水のヴェールが弾けて消える。
そしてシャツがめくれ上がって腹部が露わになってしまったアオイの肌にキュリオの視線が釘付けになった。

「彼女のこの丸い腹部にはたくさんの夢が詰まっているんだ。もっとたくさん食べさせて男たちがアオイから目を反らすようなれば、私の思惑通り。それに……」

 語尾はよく聞き取れなかったが、キュリオのぬくもりに夢ではない現実感を取り戻す。

(……聞き間違いなんかじゃないっ!?)

「……お、お父様……っ!!」

 あまりにも信じられない言葉を耳にアオイは目を見開いて飛び上がる。



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