狂気の王と永遠の愛(接吻)を~イベント編~

余計なひと言

(スカーレットさんがいなくなった理由…お父様が何かおっしゃったに違いない……!)


「わ、私っ!スカーレットさんがいなくなった方向を見ていたんです…っそれにきっと私が適任だからっ…」


「……」


顔を見なくてもわかる。キュリオの突き刺さるような視線がひしひしと伝わってくるが、チャンスは今しかない。


「ほんと?助かるわーっ!なんならこのままスカーレットに嫁いじゃってくれてもいいんだけど♪スカーレットが女の人を追いかけるところなんて初めて見たんだから!!」


上機嫌なマゼンタはキュリオの表情など全くみていない。
キュリオとアオイの関係を知らない彼女に罪はないが、アオイへと回されたキュリオの手が怒りに震えているのが怖い。


(お父様に何か言われる前にいかなきゃっ!)


「…っ申し訳ございませんキュリオ様っ!私、スカーレットさんを探しに行って参ります!!」


「…スカーレットを見つけたらすぐに戻れ。これは命令だ」


「さ、最善を尽くします…!」


キュリオの瞳を見たら怯んでしまいそうなアオイはぎゅっと目を瞑り、身を翻すと勢いよく走り出した。


「よっろしくね~♪」


またもこの雰囲気に似つかわしくないマゼンタの声が呑気にこだまする中…キュリオは競技の終えたブラストを呼び寄せた。

ほどなくして現れたブラストはキュリオのただならぬ気配に視線だけを動かし、アオイの姿がないことを確認する。



「キュリオ様、ブラスト参りました」



「…アオイから目を離すな」



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