アバターの恋

由香のラブレター

由香は、磯山のマンションの六畳の洋室に住んでいる。ベランダに出るサッシは、板で塞がれ、大型の液晶テレビが置かれている。その横に小さな祭壇が設けられ納骨が済んでいない母の遺骨が祭られている。
あとは、ベッドと机とタンスのシンプルな部屋だ。

由香は一人ポツンとベッドに座っている。

趣味の携帯小説も読むことができず、いつもパソコンでネット小説を読んでる。友達との情報交換もネットメールでしている。

由香は、ベッドに横になり、天井を眺めている。

頭の中は石井刑事で一杯だ。石井刑事ならこの悲しみから引きずり出してくれるような気がした。現実に人生をかけて犯人から由香を守ってくれた。

由香は石井を思うと胸が締め付けられる。

「逢いたい！」

「刑事さん！」

逢いたくて苦しく涙が自然に出てくる。

「ウ……」

由香は枕に顔を埋めた。