アバターの恋
面会の受付窓口で、受け付け書類に記入し、暫くしてやっと面会の許可がおりた。
30分待ち合い室で待たされ、面会室に通された。

由香は初めての経験で周囲を見回している。
「やっぱり刑務所は異様だね」

「由香ちゃん。ここは刑務所じゃないの、裁判を受ける人が入っている所なの、拘置所と言うの」

由香は拘置所と刑務所の区別がまだついていないようだ。

「へぇー」

刑務官から、座って待つようにと言われ、由香と磯山は丸椅子に座った。
目の前のアクリルボードに穴が空いた仕切りを由香は不思議そうに見ている。

奥のドアがガチャンと開き、刑務官に連れられて石井が入ってきた。誰が面会に来るか事前に知っていたので満面の笑みで石井は登場した。

由香が思わず立ち上がってポロポロ涙を流しだした。

「刑事……さ……。おか……死ん……」
言葉にならない。

石井も涙を堪える事ができない。
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