逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~

 すっかり雨を吸って重くなったスーツの上着やベストをハンガーに吊るす。沙耶の月給より高そうな靴も、乾いたタオルで水気を拭き取り、シューケースに立てかけるようにして置いた。

 そうやって部屋の中を片付けていると、だんだんこれも仕事のような気がして、気分が上向いてくる。

 やはり自分はこうやって働くのが好きなのだと思う。


(そうね、家政婦って手もありかもしれない。)


 もちろんただの現実逃避なのだが、そんなことまで考え始めていた。

 スープはコンソメと塩コショウで味を調える。


 そこでドアがガラリと開く音がした。


(そういえば着替えはどうしたら……)


 音に振り返ると、そこに腰にバスタオルだけを巻いた基が、立っていた。


「沙耶」
「っ、きゃーーーーーーーー!!!!」



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