逆境シンデレラ~御曹司の強引な求愛~
エピローグ


 エール化粧品の関連事業ビルの最上階の一室で、沙耶は相変わらず窓を磨いていた。


「My grandfather's clock was to large for the shelf,So it stood ninety years on the floor It was taller by half than the old man himself,Though it weighed not a pennyweight more.」


 窓を拭くのは気持ちがいい。
 目に見えて綺麗になるから。
 歌も絶好調で、いつもより声が伸びるような気がする。


「やっぱり社長室の窓は綺麗じゃないとね」


 沙耶が満足げにガラスを磨いていると、
「……志倉さん」
 優しい声と、コンコンとドアを叩く音が背後から響いた。

 振り返ると開け放ったドアにもたれた神尾が、苦笑しながら立っている。


「あ、神尾さん!」



< 294 / 322 >

この作品をシェア

pagetop