ただのジャンケンDeath(デス)


奥田が悲鳴をあげる。





ああ、刺さったのか。



あの針が。





ただの針なんかじゃない。







針には螺旋状(らせんじょう)の凹凸があった。





それが回転して生身にゆっくりと突き刺さるのだ。









その痛みは、果(はて)しない。







「何かがあの穴から出てきて奥田を刺しているのか?」









針に気づいてなかったのにいきなり的を得た意見を言ったのは大内 候太。







たしか父親が有名な医者で、自分もその跡を継ぐと言っていた。





とても頭がよかったのを覚えている。






「な、何でそう思うんだ?」







そう聞いたのは大内の親友で、

ほとんどの学校での時間を共に過ごすほど仲の良い田村 悟史が聞く。






二人は本当に仲が良い。







「あのイスにあった穴を覚えているか?」







田村が頷く。







「奥田と乱同が座って分かったんだけどな。


あの穴がある場所はちょうど人の急所の間。




そう、急所ではない所にあったんだ。






俺はその時疑問に思った。




なぜわざわざ急所のない場所に穴を開けたのだろうと」







やはり頭が良い。




あの穴の位置からそんなことまではそうそう分からない。







「人を殺さなくてはならないのになぜそんな面倒なことをしたのか。それは……………………」







田村がごくりと唾を飲む。







「人を最大限にまで苦しめるためだよ」







っ!……そんな理由があったのか。







「もう二度と人をむやみに増やすな。



そう周りの者に伝えるためだろう」







「そ、そんな理由があったのか」







「ああ、この機械を作った奴はそうとう狂っていやがる」










それから30分程の時間。




奥田は叫び続けた。








ゆっくり、ゆっくりと奥田の体を回転する針がむしばってゆく。











「う、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」












もう見たくない。









もう聞きたくない。










僕は目をそむけて耳をふさいでいた。








周りの皆も同じようにしていた。






ただ一人。乱同を残しては。







乱同は奥田の前にいる。





奥田から目をそむけられない。





たとえ目を閉じても耳はふさげない。





乱同の精神はもう限界だった。











その時。











「がっ………………………………!!」












その言葉を最後にして奥田の声が止んだ。












「し、死んだのか?奥田?おい!奥田ぁ!!」










乱同が吠える。






びびっているからではない。






悲しみの、悲劇の遠吠えだ。








二人の拘束が解けた。






乱同はどさりとその場に倒れこむ。






だが奥田は、、、


奥田だったものはぼとりと床に落ちて動くことはなかった。







乱同が泣いた。







子どものように。







泣きわめいた。








教室にはしばらくその声しか聞こえなかった。





























ジャンケンタイム~✴







最初はグーーーーーーーーーー!



ジャーンケーーーーン
















































パーーーーーーーー✨
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