君がくれたもの


お金を払って花束を受け取ると、

「きゃーーー!!!!!!」

「…?」

いきなり女の叫び声が響いた。

花束から視線を外して、足を店の外に向けると、

見えたのは車道に突っ込んできて次々と人を跳ねていく車。

きっとここまでは来ない。

だけど、

小さい女の子が、車に轢かれそうになっているのを見て、

勝手に体が動いていた、

「みゆき!!だめ!!!」

駆け寄るお母さんはきっと妊婦。
駆け寄るお母さんを制止して、

俺はその女の子を、抱き上げて、

「おい!そこのおっさん!」

そう言うとおじさんはすぐに反応してくれて

女の子を投げると、簡単にキャッチしてくれた。
それを見て


ほっとした瞬間、


「おい!あぶねぇぞ!」


ガンッ!!!


体にものすごい衝撃が走った。


全身を強く冷たいアスファルトに打ち付けた。

全身が痛くて体が動かない。


朦朧とする意識の中、

思い浮かんだのは、

《…大輝、大好きだよ。》

日菜子の声と日菜子の笑顔だった。

ごめんな、

俺、暫く会いにいけねぇや。

そこで俺の意識は途切れた。




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