『N』ー忍びで候うー
33.忍び
宗之と紀子は隣り合って座っていた。

目の前に置かれたカップからコーヒーの香りが漂っている。

宗之は2つ目のミルクを入れた。

「あなた、」
「どうもミルクたっぷりで飲みたくてね。」

「もう少しお持ちしましょうか?」
紀子のカップにコーヒーを注ぎ足しながら六車が聞いた。普段ならテーブルにミルクも砂糖も余分に置いている六車だが、それを忘れていることに今気がついた。

「ああ、頼むよ。」
「はい。」


「で、襲ってきたのは、、」

宗之は正面に視線を戻した。

「確かにこの間の女忍者だったんだな?」
「はい。私は顔は見ていませんが、一花が確認しました。」

「まぁ、、あの時助けられたこともわからずにっ!」

「本日休業」の札が掛けられた店内には、次郎
、四ツ谷、三田も呼び集められていた。

「で、希代香に怪我は無いんだな?一花は?」
「はい。お嬢さんに怪我はありません。一花が間一髪のところで間に入り、ご無事です。一花はそのままお嬢さんの護衛に当たっています。」

「そうか。」
宗之は頷いた。

「あなた、、」
紀子は胸を撫で下ろした。
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