『N』ー忍びで候うー
カラン、コロン、、
小さく鐘の音が鳴った。
外は暗闇が広がっている。


「あの子を狙うなんて卑怯だよ、僕、絶対あいつら見つけるから。」
「そのことだけど、心当たりがあるんだ。」
四ツ谷が郷太に合図した。

「何でさ、」
連れ立って行こうとする2人に、次郎が声を掛けた。
「郷太はあそこにいたわけ?」

「なんで?それ、一花も同じじゃない?」

「あ?」



「まぁまぁまぁ、みんな彼女が心配だったってことじゃないですか?」

食ってかかる郷太と次郎の間に三田がするりと入り込んだ。

「一花だって、あの子はもう僕らと同じじゃないのに、頭首の指示なしで護衛に行ってたじゃないか。」
「弟子だし、心配だったんだろ。一花分かりやすいからな。」
次郎は口元を押さえた。

「そういう次郎も、なんだかんだと気にしてますよね。六車も。」
「はぁ?俺は、」
「私も心配してますよ。みんな同じです。だから、あぶない人達は早いとこ片付けてあげましょうよ、ね。仲間内でもめないで。」
三田がメガネをずり上げた。

「へーへー。」
次郎は口を閉じた。

「では、郷太は私と。」

郷太と四ツ谷は連れ立って行き、次郎と三田もそれぞれの方へ散っていった。


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