『N』ー忍びで候うー
するり、とおばあちゃまは入口の方まで行ってしまう。
「七花。元気になってよかったよ。倒れて心配したけど、あなたを一花に任せてよかったと思ってるよ。
しっかりあなたを見てくれてたみたいだしね。」

「何?何の話?、、あ!」
カラン、コロン。。。



「また逃げられた・・」

「くす、面白い『おばあちゃま』だね。」
可笑しそうに笑う郷太に今度は的を変えるしかなかった。

「あ、だめだよ。一花がここにいたかなんて、来たばかりの僕にわかりっこないでしょ。」
ばさ、っと羽織っていた薄手のコートを脱いだ。
「僕はカフェオレで。」

「はい。カフェオレね。」六車はやさしく頷いた。

「絶対、一花の匂いだと思ったのに・・」
独り言のつもりだったのに、ふたりにしっかり聞こえていたようで、
「匂い?!
まさか!一花ってコロンも何もつけてないよね?」
「そうですね、、つけてないと思いますよ。
匂うとバレてしまいますしね。」
「どんな匂いなの?」
逆に迫られてしまった。

「え、、どんなって、、んー、、、特訓してたときとかに、、こう、、」
「それって汗じゃ、、」
郷太の口が半開きになって固まった。








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