セシル ~恋する木星~



山口と別れてひとりになってから、セシルはずっと考えていた。

歩道橋でのキス。

ずっと、「セシィ」と呼ばれたままだったこと。

「特別な感情」について……。



電車に乗っている十分間で、非日常から日常に切り替える。
降りる駅が近づくにつれて、顔つきも女から、妻と母へと、意識して戻してゆく。



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