セシル ~恋する木星~


でも、ふと思う。自由ではあったけれど、ドラマティックからは程遠い毎日ではなかったかと。

日常生活とドラマティックは、相反するものかもしれない。
でも、だからこそ、ときには日常を抜け出して、非日常に身を置かなくては。
そうでないと、自分が生きているのを実感できない。
セシルは常々、そう思っていた。


あの懸賞で当たったフランス旅行は、日ごろの子育てのご褒美のようなものだったと思う。
セシルは海外で、思い切り自由とドラマティックな毎日を味わった。
あの一週間で、干からびていたセシルの精神が、息を吹き返したのかもしれない。



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