セシル ~恋する木星~


セシルには、ドラマティックでない人生と同じくらい、自由のない人生は考えられなかった。
そういう意味では、葵と結婚したのは正解だろう。
夫としても、息子の父親としても特に不満はなかった。
咲子のダンナさんみたいに、料理を作ってくれたらいいのに、とたまに思うこともあったけれど。


結婚してから今まで、セシルには自由は割とあった。
息子が産まれて三歳になるまでは別としても。
幼稚園で知り合ったママ友に聞いても、子どもを置いて自分ひとりで出掛けたことなんて、みんなほとんどないと言う。



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