セシル ~恋する木星~


「実はね、昨日からここのホテルに泊まってるんだ」

「えっ? なんで?」

「昨日、姉貴が子どもふたり連れて実家に帰って来てさ、泊まるとこないから俺が出て来たの」

「そうだったんだ」

「うん。どうせ泊まっても今日までだからね」

「そっか」

「うん。俺の部屋で、ゆっくり話でもしよう」

そう言う山口を見上げ、セシルは黙ってうなずいた。

山口に続いてセシルも、客室へ行くエレベーターのほうに向かった。



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