セシル ~恋する木星~


「セシィ、愛してるよ」

「ミシェルッ!」

目隠しをされたまま、ひとつになっていた。

その瞬間、いろいろな映像が浮かんでは消えていった。
ベールを被り、ロングドレスを着ている女性。
壁いっぱいのステンドグラス。
モン・サン・ミッシェル。
遠くから聞こえる波の音。
「ジュテーム」と耳元で囁く低音の男性の声。

セシルは胸が苦しくなり、気がつくと泣いていた。

「ミシェルッ! ミシェルッ!」

そう叫ぶセシルのアイマスクが突然外された。



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