セシル ~恋する木星~
第11章 低音ボイス


「大丈夫? 気持ち悪くない?」

山口に心配されて、セシルは「はい、ちょっとふわふわしてるけど、気持ちいいから大丈夫です」と、明るく答えた。

「じゃ、ホテルまで送って行くから乗って」

「はい、ありがとうございます」

山口が助手席のドアを開けてくれたので、今度は直子が助手席に座り、セシルは後ろの席にひとりで座った。

セシルは窓にもたれて、パリ最後の夜景をしっかりと目に焼き付けていた。
前の席では、直子と山口が何か話しているようだったが、少し眠くなってもいたのでよく聞き取れなかった。



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