天狗に愛されて


『貴方にはまだ人を想う気持ちが!』


「……幾ら問い掛けても手遅れだ。
見ろ、妖気を嗅ぎ付けた妖共が集まって来た。」


『でも…!』


頭の中では分かってる。
穴を塞がなかったら大変な事になるって。


「既に浄化の陣は仕掛済みだ。
今更止める事は出来ない。」


パァン!!


「我、その手を求む。」


塞が両の手を強く叩き、呪文を口すると
広範囲の陣が浮かび上がる。


『塞!止めッ!!』


ビユッ!


止めようとすると、
足止めの符が身体の自由を奪う。


こんなもの!直ぐに解いてッ!!


ビリッ!


自力で符を破り、走り出す。


「地を守りし浄を持つ者来られたし、
理を乱すは彼。

人ならぬ者は清められよ。」


ここら一帯が眩しい光に包まれた。


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