天狗に愛されて


『こら、アンタ達の仕業ね?』


手の切り傷を見せる。


こんな傷なかったし、
それにちっとも痛くない。

こーゆう傷は鎌鼬(カマイタチ)の仕業。

一匹目が転ばせ、
二匹目が切り、
三匹目が薬を塗るって妖。


大抵の人が被害者なんだけど、
視えない人はいつの間にか切ったで終わる。


『全部この子達のせいで〜す。
まぁ、痛くないからいっか!

ほらほら…サッサと行きなさい。
神木の人間が来たら祓われるよ?』


三匹の鎌鼬を降ろし、頭を撫でる。


「ねぇ…見てあの子……。
何も居ないのに喋ってる。」

「うわ〜…イタい子?」


あちゃー…登校中って事忘れてた。


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