天狗に愛されて
裸足で少し湿った地面を走る。
『…ハァ…ッ……ハァ…!!』
勝手に流れる涙はなんの涙なのか分からない。
悲しいからなのか怒りなのか、
分からないのに流れ落ちて行く。
あんなに透き通って見えた神水の泉も滝も
私の目には淀(よど)んで見えた。
泉に近付いて覗き込むと、
そこには人間ではない異形の姿をした私が居る。
『これが、本当の私…。』
キイイィ!
『このピアス…追跡の術を。
何もかもお見通しって訳ね。』
光るピアスを無視し、泉に足を付けた。