それは、小さな街の小さな恋。


一応けじめだと、お父さんと初子ばあちゃんに関係の変化を報告して一ヶ月。


プロポーズは私が一度断ってしまったし、ゆっくりと恋人として進んで行こうとお互い話していたが初子ばあちゃんの、


『私が元気なうちにひ孫を抱かせてね。』


という一言で事態が急変した。


初子ばあちゃんはもうすぐ80歳。俊ちゃんは31歳で、私は26歳。


これはゆっくりしてる場合じゃないぞ、と取り敢えず婚約した私たちはなかなか忙しい日々を過ごしている。


特に俊ちゃんは、今勤めている病院を辞め、この藪下診療所を継ぐことを早々に決意してくれ、今は病院の仕事と診療所の引き継ぎでてんてこまい。


でも、診療所の仕事は楽しいから息抜きにもなるんだとか。

まあ、本当によくできたお婿さんだ。

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