それは、小さな街の小さな恋。


そろそろ肩が痛い。目もしばししてきたし、ミシンを出すのも面倒臭いな。


そう思いながら肩をバキバキと回した時、玄関から声がした。


「ただいまー。」


気だるげなその声の主は、久しぶりの俊ちゃんだ。


時計を見ると、ちょうど8時になったところ。意外にも早かった。


というのも今日は、『帰る。飯よろしく。』という電報並みに簡素なメッセージが俊ちゃんから届いたので初子ばあちゃん家で作業をさせてもらっていたのだ。


「ばあちゃんは?」

「お祭りの準備。」


現在初子ばあちゃんは、蒲鉾屋のおばちゃんとともにわらじを編んでいる。

数に誤りがあったと初子ばあちゃんが溢していたので、きっと今夜は遅くなる。

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