<BL>  お前は俺のものだ。~古賀凛side~

一目惚れしたからと言って、
アプローチなどをするわけでもなく。

ただただ見ていた。


人望もあって、学力もあって、運動神経もよくて、何もかもが完璧だった。


僕とは、違う


そう思った。






そして、学校にも慣れて、それなりに友達も出来た。


京介さんとの接点も無いままで、
きっと、片想いで終わってしまうと分かっていた。




     そんな、ある日


あの日は、最悪の日になるはずだった。

朝から、両親が弟・悠真(ユウマ)の事を


『使い物にならなそうだ』


そんなことを聞いてしまった。


悠真は、病弱で家に居ることが多い。

それに、本人も好んで熱を出したりしていない。

まだ、悠真は三歳で甘えたい盛りなのに――。



自分でも、どうしたらいいのか、分からなかった。



その事を考えながら、過ごしていると
あっという間に下校時刻になった。

帰ろうと、階段をおりていると、階段を踏み外し、落ちてしまった。

落ちたといっても、六段くらいから、驚きはしたが大丈夫だと思って、立ち上がろうとすると……。



「痛っ」



左足に痛みを感じた。



「最悪だ」



足を捻ったみたいだ。

もう一度、立とうとしたが、
痛みで立ち上がる事ができなかった。

どうしようと思っていると……。



「座り込んで、どうしたんだ」



そこには、階段を駆け上がって来た
京介さんがいた。



「足、押さえて、捻ったのか?」


「えっと、あの……」



緊張して、頭が真っ白になった。


遠い存在でしかないと思っていた人が
目の前で僕の心配をしてくれている。

それだけなのに、とても嬉しいと感じるのは何故なんだろう。



「どうした、他にどっか、痛むのか」


「あっ、いえ、その、階段を踏み外しただけなので……」



緊張して、言葉が上手く出てこない。



「階段踏み外しただけって、十分大事だと思うぞ、足、見せてみろ」


「大丈夫です」


「大丈夫の奴が足首押さえながら、座り込んでいるはず無いだろ」



大人しく、左足を見せた。



「少し動かすぞ」


「痛っ」


「痛いか、一先ず、保健室行くぞ。
立てそうか?」



今度は、立てたが歩くと痛みが走った。



「大丈夫か?
じゃぁ、おぶってやる、乗れ」


「えっ、そんな、大丈夫です!」


「はやくしろ」



京介さんにおんぶしてもらった。



「よし、行くぞ」



おんぶしてもらった、その背中は大きくて
とても頼もしいく感じた。


このまま、時間が止まってくれれば、
良いのに……。


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