椿 バージョン1
「じゃあ僕から。
僕、長崎楓。
かえでって、女の子みたいな名前だど、
僕は男だから!
そこ、よろしくね!
クラスは2ーB組だよ」

可愛い!!
楓君かぁー♪
仲良くなれそう!


「…………清水流。
ながれって呼んでくれていい。
俺も2ーBだ」

相変わらず無表情。
しみず……ながれ?
どこかで聞いたことある名前な気がする……。

「はーい!長城皐でーす!
さつきでいいからね!
2ーDだよー♪
遊びに来てね♪」

絶対行くものか。

チャラ男め。

「じゃあ、俺かな?
金崎暁人だよ。
よろしく!
2ーCにいるから。
何かあったら言って」

あきとは……もういい。

「俺、龍ヶ崎、竜鬼。
たつきでも、たつでも。
なんとでも呼べば。
2ーC」

「じゃあ、椿もね。
自己紹介して?」

は?なんで私が。

嫌だよ。
…………でも、楓君がこっち見てるし。
キラキラした目で見てるし。

天使だーーーーー!!


「花崎、椿。
2ーE」

ぼそっと言っただけだったけど。
別にそれで良いらしく、
暁人は笑顔で言った。

「生徒会へようこそ!!」

………………………………。


「「はぁ!?」」

今度は竜と私の声がハモる。

「どういうことだよ。暁人!」

竜は思いっきり不機嫌になってるし。

私も……

「やだ」

はっきり断る。

「生徒会長からの誘い。
断るんだ?」

爽やか、もとい邪悪な微笑みである。

暁人に殺意。

「私…………嫌いなのよ。
そういうの」

周りがはっと息を呑むのがわかる。

それは……私が出してる殺気のせいかな。

ただ、竜だけ平気な顔して

「椿。今は良いだろ?
そのくらいで」

私をたしなめる。

「な、なにその殺気」

暁人と楓君は目を丸くしてて

皐は声をあげて笑ってて

流は……無表情。


めんどくさいなぁ。
まぁ、良いや。
私の裏の顔。
見せてあげよう。

「私は花崎椿。
……死にたくなかったら、私を誘わないことね」

皆が息を呑むほどの殺気。
滲み出る殺意。

目は狂気にかわり、
私の爪が凶器と化す。

私は暁人の横。
その後ろにあったポスターを切り刻んだ。

「え…………?」

暁人が振り向いた、その瞬間。
その一瞬をプロは逃しはしない。

「あんた、死ぬよ?」

そう、耳元で囁けば
暁人はずるずると床にしゃがみこんだ。


楓君と皐は血相をかえて暁人の元へ。

流は相変わらずの無表情。

竜はまた一言。

「お前、また強くなったわけ?」

ふっと笑って空を見た。

「もう、いいかな?」

私は元に戻り、明るく声をかける。

暁人は震えてて、カッコ悪い気がするけど
それは仕方のないこと。

普通の人間が
あんなに殺気を向けられたら
普通は気絶するのに。

意識があるだけすごいんだ。
暁人は。



「生徒会。入ってあげてもいいよ?」

あんたらの強さはわかったから。



「そのかわり、今のこと。内緒ね♪」


私が笑えば、皆顔を背ける。

え。ちょっと。なに。

おい!チャラ男!!

怒りの矛先がいつの間にか変わっていた。
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