アリストの3姉妹
最終章

1.再建

あれから、魔女達は、国へ帰り、事の真相を王に話した。

宴の食事に毒を持ったのも、千年の孤独の寂しさから産まれた幸せなものたちへのジェラシーから産まれた夢の中でのちょとした悪戯だったこと。
それは彼女にとっては全て夢の中の出来事で・・・、だけど、その夢は魔女の力を持つ者による夢現同一化の力により起こされた夢現同一化現象というものであったこと。
しかし、それを行ったものは、まだ意識の無い赤ん坊だったこと。

赤ん坊への罪を真の罪として罰するのかと問うと、王はこう答えた。

『千年の孤独・・・想像もつかない事だな。
私は国の民に愛され、いつでも愛に満ちているせいで、一夜の孤独さえ寂しいと思う。
たった一夜の孤独を寂しく思うなら、三日間の孤独は私を死へと追い詰めるだろう。
千年の孤独を味わった者の悲しみ苦しみの深さを、測るすべは無い。しかし、あまりにも哀れで私はその者がそれにより犯した罪を罰するほど冷酷にはなれない。

きっと、真実を知っても国の民はわかってくれる。
家族を失った者も理由を知ればきっと許してくれる。
命を失った者も理由を知ればきっと恨みはしない。
わが国の民たちは、そういう慈悲の心や優しさを持っているはずだ。
もう、お前たちを攻めるものはいない。いつでも国へ帰って来い』

そう、言ってくれた。

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