不倫のルール
私が『ファザコン』なのも、お母さんのせいかもしれない。

亡くなってからも、お父さんの事を想い続けているお母さん。隠れて泣いてる事もあるけど、お父さんの事を話す時は、とても幸せそうに笑う。

もう、会えないのに……

お父さんみたいな人と付き合えば、私もそんな風に笑う事ができるのだろうか……

私の言葉もあってか、交際をスタートさせた母。母の恋人は、車で一時間ほど離れた町に住んでいた。週末になると、お互いの住む町を行き来していた。

一年半ほど前、母の恋人がぎっくり腰になった。一人暮らしだったので、ちょこちょこ仕事を休みながら、母が世話をしに通った。

そんな事が、私の以前からの思いを伝えるきっかけとなった。

「ねえ、お母さん。清水(しみず)さんと結婚したら?」

「えっ!?……」

母の恋人─清水さんとは、私も何度か会っている。

母の事を、とても優しい目で見ている。無口という訳ではないが、物静かな方で、実はおっちょこちょいな母を、温かく見守っていてくれているように見えた。

「二人とも、もう若くないんだしさ……私は、もう一人でも大丈夫だよ」

母を見て、ニッコリ笑った。目を見開いたまま私を見ていた母は、顔を歪めて泣き笑いの顔になった。

あんな風に言ったけど、娘からのちょっと辛めの評価でも、母は若くてきれいだと思う。

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