不倫のルール
「『黒崎課長』の名前を繭子から聞くたび、まずいんじゃないかなって心配してた。でも、そこから関係が変わる様子もなかったから、あえて何も言わなかった……」

美冬は、ずっと顔をしかめたまま。美冬、せっかくの可愛いお顔が……

「一言、釘をさしとけばよかった。里中(さとなか)美冬、一生の不覚であります!」

「美冬……ごめん」

美冬と明奈と私は、高校三年間、ずっと一緒だった。感激屋の美冬は他人の事でも、本人以上に泣いて、笑ってくれる。

「繭子には、もう泣くだけの恋はしてほしくなかったのに……私達が突き放すと、どうせ一人で泣くんでしょ?いいわよ、付き合ってあげるわよ!」

そう言うと、美冬もジョッキを持って生ビールをあおった。半分程飲んで、ジョッキをテーブルに置いた。

「全部は無理!玲子さん、さすがっす!」

美冬のそんな様子に、ハンカチで目元を押さえながら、思わず笑ってしまった。

「ありがとう!玲子さん、美冬……」

「よし!とりあえず乾杯するか!」

と言った玲子さんは「すいませ~ん!生中一つ!」としっかり追加オーダーをした。

「繭子、明奈にもちゃんと話すんだよ」

美冬に言われ、私は大きく頷いた。

それからは、いつもの三人の飲み会になった。二杯目の生ビールは、いつも以上においしく感じた。


次の日の土曜日、明奈に連絡した。黒崎課長との事を、全て話した。

短い相槌を打ちながら聞いていた明奈。

一通り話が終わり、私は短く息を吐いた。

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