不倫のルール
ゆっくりと時間をかけて愛撫してくれる。

でも……いつからそれに、“温度”を感じなくなったのだろう……

自分の欲を吐き出す行為のはずなのに、黒崎さんの行為はいつも変わらない。

まるで『ルーティーン』のようだと思った。

私を快楽に導く為の、完璧にコントロールされた行為──

……なんだか少し怖くなった。それでも、黒崎さんに触れられると、簡単に高みに昇ってしまう私の身体……

自分で自分の事がワカラナイ──



──去年の十月、黒崎さんに異動の辞令がでた。

今いる本社から、車で一時間程かかる営業所の所長だ。

そこで三~四年実績を積めば、本社に帰ってくる時は『部長』だろう……

そう社内で噂された。私は、総務課に所属する玲子さんから、みんなより少しだけ早く黒崎さんの異動を知った。

……終われる……黒崎さんとの関係を、終わりにする事ができる。

私はホッとした。黒崎さんの異動の話を聞いて、真っ先に感じたのは“安堵”だった。

黒崎さんがうちに来て、異動の話をした。

「もう、無理だよね……」

私がそう言ったら、黒崎さんは少し不思議そうな顔をした。

「無理?何が?」

「えっ!だって、往復二時間、今まで通り自宅から通勤するんでしょ?私に会う余裕なんて、ある?」

黒崎さんは少しだけ考えた後、クスッと笑った。

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