不倫のルール
「っ!ごめんなさい!」

さらに顔が熱くなって、俯いた。すごく、すごく恥ずかしい事を言ってしまった……!

でもそれは、身体だけを求められてる訳じゃないって、事だよね……?

じんわり嬉しくなりながら、視線を上げて黒崎さんを見た。

温かくなりかけた心が、一気に冷たくなった。

黒崎さんが私を見下ろす視線は、とても冷ややかで……『軽蔑』そんな色も感じた。

私は、なんて事を言ってしまったのだろう……

取り繕う言葉も見つけられず、冷ややかな視線から逃げるように、再び俯いた。

そんな時、黒崎さんから電子音が聞こえた。

「もう二度と、そんな事は言わないように」

それだけを言うと、部屋から出た。

「はい……」返事をしたけど、黒崎さんに届いていたかどうか……

結局、その電話をきっかけに黒崎さんは帰ってしまった。

私がセックスをできないから帰ったのか、変な事を言ったから怒って帰ってしまったのか……

空虚な気持ちを抱えたまま、一人、居間の真ん中に座り込んだ。

これをきっかけに、ある事に気付いた。

黒崎さんは、“私から”されるのを嫌う。

私からキスをするとか、触れるとか……

黒崎さんのセックスは、いつもとても優しい。

初めて肌を重ねた時のように、全身に優しくキスを落とし、丁寧に指先で触れてくれる。

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