思い出約束
病室のなかには、俊くんの呼吸の音が聞こえてくる。


あっ寝てる…。




ドキ。久しぶりにちゃんと俊くんの顔を見た気がする。



さらさらの髪の毛と、整った顔立ち。



全部、全部…私の好きなもの。





気がつくと、俊くんを抱きしめていた。


ねぇ俊くん。気づいて
思い出して。もう一度…私の手を握って…?




俊くん…。




「う…んっ」


私の涙が落ちたのと同時に俊くんも目を覚ました。



「はっ春花…!?」


はっとして、俊くんから手を放す。


「ごめんねっ!!」



そのまま、逃げるように病院をでた。



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