癒えない傷
その日の夜……
「ね…裕菜…」
帰って来てから
あたしを無視する裕菜。
今ベッドで
下の裕菜に話しかけてみる。
案の定返事は聞こえない…
と思った。
「なに?」
怖かった。
口調も 何もかもが
怖かった。
「あ…あたし…さ…
祐が…好きかもしれない…」
「まとまったの?」
へ……?
定かではないけど
でも いつもの裕菜だった。
「う…うん…」
それから少し経って
声が聞こえた
「あたしも あんたと同じように
好きなの。祐が…」
「うん。」
「だから 諦めたりなんかしない。」
「うん……」
その夜…
裕菜と分かち合えたのだと
思っていた。