初恋フォルティッシモ

…は?

何あれ。


そんな二人の姿を見つけた瞬間俺は嫌な予感がしたけれど、その時麻妃先輩が青田に言葉を続けて言った。



「…今度、映画行く約束したじゃん」

「…、」

「あれ、やっぱり行けない。…ごめん。ほんと、ごめんね」



麻妃先輩は青田にそう謝ると、また、青田に向かって頭を下げる。


…なに?

って、最初は見ていてよくわからなかったけれど、二人は前に一緒に映画を観に行く約束をしていたらしく、

だけどどうやら麻妃先輩が行けなくなってしまったらしい。


……嫌なシーン目撃した。

見なきゃよかった。マジで。


二人が一緒に行けなくなったのはいいとして、だけどこの前チューバの先輩から聞いた二人のデートの噂は本当だったらしい。

俺は二人の会話を聞くと、また深くため息を吐いた。


…っつか、俺何してんだろ。


そして俺がその場から離れようと踵を返した瞬間、今度は青田の声が聞こえてきた。



「…どうしたんですか?先輩。あんなに楽しみにしてたのにいきなり行けないなんて」

「そ、れは…」

「もしかして、あの事気にしてるんですか?三島くんから言われたこと」

「…っ」



「…!」



…は……俺…?
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