初恋フォルティッシモ

時刻は、昼の13時。

お、待ち合わせ時間ピッタシじゃん。


そう思いながら、先に待っていたユリナを見つけると、俺はさっそくそいつに声をかける。



「ユリナ、」

「!」



それまでユリナはスマホを片手にしていたけど、俺の声にハッと顔を上げると、すぐに俺を見遣った。

そして嬉しそうな顔をするかと思いきや…ユリナは不満そうに目を細めて言った。



「…おそい」

「!」



そのまさかの言葉を聞くと、俺は少し目を丸くする。



「え、待ち合わせ時間ピッタリだって」

「ピッタリだけど遅いの!ユリナはもう15分前から来て待ってる!」

「……ごめん」



…マジか。相変わらず早いのな。

ま、時間にルーズな女よりはまだマシか。


そんなユリナの言葉に俺が素直に謝ると、ユリナがスマホを鞄に仕舞いながら言った。



「…じゃあ、勇佑」

「?」

「罰としてユリナのワガママ聞いて」

「…え、指輪は?」


「それも欲しいけど、今は別。ユリナを待たせた勇佑が悪いんだよ。


今ここでユリナにチューして」


「…!?」

< 120 / 278 >

この作品をシェア

pagetop